WWAでは、昨年に引き続き、三条市の委託事業として「働く親と子のコミュニケーション講座」を行いました。
昨年は保育園や小学校低学年の子どもを持つ保護者を対象とした「幼児期編」でしたが、今年は小学生高学年から中学生・高校生の子どもをもつ保護者を対象とした「思春期編」の講座です。
開会にあたり、講師から、子育ての最終目的は「子どもの幸せな自立」であること、そのために親ができることは「子どもが自分の人生を歩むためのサポート」であり、その手段として「親が子どものコーチになる」という提案がありました。
それをふまえ、第一部では、思春期とは幼児期から現在に至るまで子どもに大きな影響を与えていた「親の価値観」から離脱し、「子ども自身の価値観」を作りだしていくまでの「空白期」であると説明がありました。
だからこそ、この時期に大切なのは「子ども自身の『自分との』葛藤」なので、親は余計な口出しは慎もうと戒めがありました。
第二部では、思春期の子どもとの適度な距離感を理解するため、参加者同士でペアになり、
3種類のコミュニケーションパターンについてロールプレイングを行いました。
1:親が子どもの行動に口を出し、指示をする
2:口出しはしないが、影のように子どもにぴったりとついて歩く
3:目は離さず、親は動かず、子どもを信じて見守る
その結果、3の「信じて見守る」パターンが親子の距離感として最も適当であることを参加者自身が実感することができました。
その後、講師から思春期の子どもに対して「親としてできるサポート」は「愛すること」と「責任」であると説明がありました。
「愛すること」は「いざという時に話せる信頼関係を作ること」、そして「この自分で良いのだという自尊感情を守り、育てる」ことです。
具体的には、子どもが何かを話し始めたら黙って耳を傾け、しっかり話を聴き、親が子どもを否定するようなことはしない。
そして、日常生活の中で「お茶の時間」を設けたり、「おかえり」という言葉かけを大切にするといった事例の紹介がありました。
「責任」は「任せる過程で自律を学ばせる」ことです。
「任せる」ことで子どもは考えて行動し、その結果、自信をつけたり、問題解決力を身につけることができます。
これが「自分の人生を自分で切り開く」力に繋がっていくということでした。
具体的には、「任せたことは、信じて見守ること」そして「限界設定」をすることです。
「どこまで任せるか」を親子で向き合って話し合うことが必要であり、そのために、我が家ルールなどの枠組みを提示し、「限界設定」することが大事、という説明がありました。
第三部では、「テスト前なのに勉強をしない中学生の男子に対して、親が口出しをせずに、どうやって自分から計画的に勉強するようにさせられるか」という設定で、参加者同士で話し合いを行いました。
講師によると、親がコーチとして子どものやる気を引き出すポイントは3つ。
一つ目は「子どもの立場に立つ。親の問題との区別化」で、“子どもの問題(勉強をしないこと)”と“親の心配”を混同しないことが大切だということでした。
二つ目は「子どもに目標を持たせる」ことで、そのために「あなたはどうしたいの?」と尋ねてみることも一つの対応だということでした。
そして三つ目は、「子どもにどんなサポートが必要なのか聞く」ことだそうです。
また、「お母さんはあなたのことが心配だ」とI(アイ)メッセージで伝えたうえで、「何かしてほしいことがあったら言ってね」と声をかけてみることも一つの対応だということでした。
結局のところ、本人がやる気を出すことが最重要で、親がコーチとして出来ることは、何をしたら子どもがやる気になるか考えること、そして、子どもを信じて見守ることに尽きると学ぶことができました。
また最後に、思春期の子どもは、身近にいる親をモデルに自分の価値観を作っている過程なので、働きながら生きる姿をリアルに見せることが、子どもの成長のサポートにつながる、という話がありました。
なお、今年の参加者数は15名で、昨年の幼児期編より人数は少なかったものの、参加者アンケートの結果によると、「とても良い」が84.6%、「良い」と合わせて100%の高評価となりました。
この背景には、仕事と育児の両立に困難がある一方で支援制度も準備されている幼児期に比べ、思春期は親を支援する制度がほとんど見当たらないことがあるかもしれません。
しかし、子どもが思春期の年頃の親は企業において中堅以上の立場にあるケースが多いです。
そう考えると、幼児期の子どもの親の支援も勿論ですが、思春期の子どもを持つ働く親の支援をする必要があるように思われます。
WWAでは、今後も働く親の後方支援を行っていきたいと思います。