「起業道場実践編:本気の起業・具体的に実践」

第三回: テーマ「事業継続のための財務知識]

8月21日(日)13時30分~16時30分 (会場:新潟市万代島ビル11階NICOプラザ会議室)

*閉講後16時40分~17時20分:最終課題「完成版広報ツール」を使って「私の事業」1分プレゼン

内容:「事業継続のための財務知識」

・売上と経費のバランス、赤字にならないために必要なこと

・これだけはやっておきたい会計作業

講師:捧みちる(捧会計事務所代表・税理士)

実践編最終回は、実際に起業をしたあと、「事業として」継続していくために欠かせない財務知識について講義を行いました。

冒頭で国税庁による平成26年度の報告で、全国の法人262万8千社のうち70%の法人が赤字であり、黒字の法人は30%だけという驚きの数字が示されました。

70%の法人が赤字なんだから自分も赤字で仕方がないと考えるのと、30%の黒字法人に入ろうと考えるのでは、起業後に大きな違いが生じます。

講師の捧税理士からは、せっかく起業した事業を継続していくために「会計処理の重要性」と「起業後の資金計画」の2点について講義が行われました。

「会計処理の重要性」については、日々の現金管理が最も重要であると強調がされました。

具体的には毎日「現金出納帳」を付け、帳簿上の現金残高と実際の現金残高を一致させること。

飲食店や理美容室など「現金商売」といわれる業種では突然の税務調査もあるそうなので要注意です。

その後、見積もりや契約、請求、代金回収といった「売り上げ管理」、それに伴う「証憑書類(請求書や領収書など)」の整理保存、複式簿記のこと、確定申告における青色申告と白色申告の違いなど、具体的且つ詳細な説明が行われました。

一般的に「お金の話は面倒くさい」と敬遠されるものですが、実践編の受講者は具体的な起業計画を持ち、既に起業している人も何人か参加しているためか、「プリペイドカードを使って代金を払った場合の帳簿の付け方」や「口座振り込みで代金を支払った場合の領収書の受け取り」など、受講者から捧講師へ質問が多く寄せられたのが印象的でした。

後半の「起業後の資金計画」においては、最初に「借入金をはじめとする資金調達」の話があり、続いて「事業と生活を維持継続していくために必要な資金」から逆算して「必要な利益」を求め、目標利益を達成するための損益計画の立て方の説明がありました。

その際、捧講師からは、目標利益を達成するためには、①売り上げを増やす、②経費を減らす、③利益率を上げる(効率良く稼ぐ)の3つの方法があると説明がありました。

これらは「事業年度ごとの事業の見直し」にも直結する内容で、日々の現金管理から始まる会計処理が「健全な黒字経営」と「事業の継続発展」に強く結びつていることがよくわかる説明でした。


捧講師による「事業継続のための財務知識」の講座は以上のとおりですが、今回、受講者の皆さんは前回の中村講師から添削を受けた「A4サイズの広報チラシ」を完成させて受講生の人数分だけ持参をしてきています。

そこで、捧講師の講義終了後、16時40分から17時20分まで、受講者同士でチラシを配布しながら説明しあう「私の事業1分プレゼン」を行いました。

指示進行を担当した高橋講師の説明によるプレゼンのポイントは「笑顔」と「姿勢」と「伝えたい心」、話の組み立ては「結論」「理由」「再び結論」から成る演繹法。

この2点を意識して、最初は近くに座った者同士、その後は席を離れて自由に移動しながら受講者全員が互いの事業についてプレゼンしあう形を取りました。

その様子は、とても賑やかで楽しげで、実に気持ちのよいものでした。

最後に講師と、主催者である(公財)にいがた産業創造機構の担当者から受講者の皆さんにエールを贈り、全講座が無事に終了となりました。

この後は昨年度までの受講者も対象にした「フォローアップ道場」を11月に開催する予定です。

こうした息の長い取組を通じ、多くの女性の起業が成功することを応援していきたいと思います。