『国語を通して、学ぶ喜びや楽しさのきっかけを与えていきたい』
真田節子さん/新潟市内の小学校教諭
---具体的にどんなお仕事ですか?
5年生の担任、5年生少人数学級指導をしています。学校は文部科学省の「学力向上フロンティア」指定を受けており、現在、その研究推進委員をしています。ほかに、新潟市小学校国語部(200名)の「研究推進委員長」として、「学ぶ喜びを味わいながら、確かな国語力を育成するために」というテーマを掲げ、授業改善や、指導力アップの企画をしています。また、新潟音読研究会(会員数200名)の事務局幹事と、某教科書会社の国語の教科書の企画、編集執筆、指導書の執筆もしています。日本国語教育学会会員。また、去年は、新潟市2学期制検討委員として、「2学期制になった時、子どもたちの気持ちはどうなんだろう?」という視点で、2学期制報告書づくりにも携わりました。
---教師になろうと思ったきっかけは?

高校を卒業した時、ジャーナリストやものを書く仕事に就きたいなと思っていたんですが、大学受験の共通一次がひどい点数で(笑)。行きたい大学に入れなかった。そして、私の父が教師になりたかった人で、それも心のどこかに残っていたのと、結婚してもずっと続けられる仕事がしたかったし、人を相手にした仕事もしてみたくて。いろんなことが重なって教育学部に入りました。
---中学校や高校の免許もあるのに、なぜ小学校ですか?
新採用の3年間を小学校で働いたあと、中学校に行かないかとお話もあったのですが、すでに小学校にはまっていたというか。その小学校が研究校だったので、全国から先生が800人集まってきたり、次の年に県の指定研究校になったりして、学ぶ機会が多かったんです。そこで、授業のやり方によっては、子どもたちが学ぶことや、作文が書けた喜びでイキイキしてくることがわかった時に「これは、作っていく仕事だ」と。受験がない分、マニュアル通りじゃない、アプローチができると思ったことが小学校を選んだきっかけですね。
---近年、様々なことが導入されてきましたが、どんなことが変わりましたか?
絶対評価や少人数指導が導入されました。教師間格差や教え方によって、クラス単位で点数のばらつきがでないように、みんなで底上げをしていかなければなりません。今までは自分のクラスの国語をどう作ればいいのか、でしたけど、今はもっと大きな視点で考えなければいけない所です。そして、特に小学校は、点数だけではなくて、学習の関心や意欲、態度に重きを持つので、そういった意欲面、そして、人間としての基本的な心の教育が重要視されてきました。そんな中、親の意識が教師の教え方、指導力に対してシビアになってきましたね。昔は、「うちの子はできないから、もっと勉強しなさい。」、今は、「うちの子の成績が悪いのは、先生の教え方が悪く、指導力不足。もっと力のある先生にもってほしい。」と変容。それぞれの親の意識は、よく考えると、ある意味、もっともなんです。
いろんなことが変わっても、根本的なものは変わっていない
また、社会の多様化、生活スタイルや価値観の多様化が、全部、学校に縮図として入ってくるという現状があります。だからこそ、受け持っている子ども達を、個に応じて、どうレベルアップさせていくか、どう学級集団を作るか、情報を開示しながら、そして、自分のやっていることに対する説明責任をもちながら、日々、目の前の子どもと、1歩先の教育界の動向と、今の社会全般の価値観に目を向け、バランス調整を図りながら、教師は努めていかなければなりません。何年も前と同じ意識で、同じスタイルで、仕事に向かっていては、やっていけないのです。教員の自己改革が叫ばれているのも、そうした背景があると思うのです。
今の子ども達は、価値観も様々ですごく個性的。でも、今の子は変わったっていうけど、いろんな人の気持ちを考える場面を与えると、すごく素直であったかい。根本的なものは変わっていないんですよ。
---子ども達にいろんな人の気持ちを考える場面を与えるとは?
学級で物が隠されたとか、何か問題が起こった時、やった側を一方的に責めるのではなく、自分がやられたとしたら、どんな気持ちになるか、やった側も何か不安を抱えているのではないか、ということを伝えながら、みんなで考える。例えば、国語の音読の時。みんなで読んでいくと、みんなが大きな声が出るわけじゃないし、恥ずかしがりやな子もいます。その時に、こういう会話をするんです。
真田先生「恥ずかしい時や自信がない時、みんなも小さな声になるよね。『聞こえません。もっと大きい声で』って言われたらどう思う?」
子ども達「なおさらドキドキして声が出せなくなっちゃう」
真田先生「じゃ、そういう時、周りの人はどうしたらいいかな?」
子ども達「一生懸命、聞こうとする!」
真田先生「そうだよね。『聞こえません』と非難するより、聞いてあげようと真剣に耳を傾ける。そして、話す、読む方も聞いてもらおうって気持ちで、声を出してごらん。」
と、そういう小さいこと、みんなの良さを返しながら入れていくんですね。声の小さいある子が、大きい声が出た時に、自然と拍手が起こったりするんですよ。
---日常のストレス発散方法は?
冬はスキーやスノーボード、そして、アルビレックスの熱狂的応援です!サッカーがずっと好きで、何度かアルビの試合を観に行くうちに、同じエリアにいるサポーターたちと出会って、一緒に応援するんです。ここで出会った仲間は、年齢も職種も様々。観戦ツアーに行ったり
、話をしたりすると、すごく面白くて、まるでひとつのファミリーみたいなんですね。社会に出てから、本音を言い合える仲間はできないかなって思っていたんですけど、それがね、できるんです(笑)。
すごく仕事が忙しくて苦しくても、そこに行って応援すると、元気を貰って帰れるんです。エネルギーの源ですね。そこで話をしていると、子どもたちのことで悩んでいることを話すわけではないのに、見えてくるものがあったりするんですよ。
---座右の銘や好きな言葉はありますか?
「あなたの信頼が私の勇気です!」若い頃に流行った何かのキャッチコピー。この言葉がすごく好きですね。落ち込んだり、
つらかったりする時に、サポーターの仲間や学生時代の仲間が「よく頑張ってるじゃん!」って言ってくれる。そんな時、その言葉がけで、前に踏み出せることもあります。
信頼される教師、人間になりたい
仕事でも、子どもが自信をなくしてる時に、裏づけのない「大丈夫」ではなくて、悩んでいることやその子どものことをよくわかった上で、『大丈夫よ』って伝えていけばやる気になったり、何かを始めてみようかなって気持ちになったりできると思うんです。この人は、わたしのことをわかってくれているんだなって。そんな教師に、人間になりたいです。
ちなみに、今の学級の子ども達が考えた「学級目標」は『みんなが、みんなのサポーター!』(さわやかな ぽっかぽかな 大きな心で たすけあい 歩んでいこう)です。私の思い、わかってくれてるなって思うあったかい目標で、大好きです。
取材を終えて…
真田さんは、書き初めの授業の時、いつも子ども自身に書きたい言葉を選ばせる。「その言葉通りにならなくても、生きていく上で、どこかに残っているものがあれば・・・」という思いが込められている。10年前、プロのサッカー選手を夢見ていた、ある男の子はこんな言葉を書いた。『夢の実現』。その男の子は、現在ジェフ市原で活躍する野本安啓選手。今でも年賀状のやりとりをしているという。真田さんとこれから出会うたくさんの子ども達の未来が楽しみだ。 |
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2004.5.27up /interview 竹野 忍
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